県立病院医師 麻酔薬を自分で使用で起訴
麻薬に指定されている麻酔薬を患者の手術中に抜き取り、みずからに注射して使用したとして、岩手県立中央病院に勤める30代の医師が麻薬取締法違反の罪で在宅のまま起訴されました。
起訴されたのは、盛岡市にある岩手県立中央病院の麻酔科に勤務している30代の医師の男です。
起訴状などによりますと、この医師は6月8日、病院の手術室で、緊急手術中の患者に薬を注入するための機器から麻酔薬の「フェンタニル」を数CC抜き取り、病院のトイレで腕に注射して使用したとして、麻薬取締法違反の罪に問われています。
警察の調べに対し、医師は容疑を認め、「ことし2月ごろから数十回にわたって使った」と供述しているということで、今月・8月25日、在宅のまま起訴されました。記者会見を行った県や病院によりますと、この医師が手術のあと注射器を胸ポケットに入れて立ち去るのを、看護師2人が目撃したということで、医師は「薬でストレスが解消できると思った」と話しているということです。
手術中に麻酔薬を抜き取られた患者には、特に影響はないとしています。
「フェンタニル」は手術の際の鎮痛薬として広く使用されていますが、毒性が強く依存性もあるため、法律で麻薬に指定され、医療行為以外での使用は認められていません。
この医師は現在、病気を理由に休養中だということで、県は今後、処分を検討することにしています。県立中央病院の望月泉院長は「高い倫理が求められる職場でこのような事態を招き、おわび申し上げる。再度、職員たちへの教育を徹底したい」と話しています。