半導体級石英ガラスは、極めて高純度な非晶質シリカ(SiO₂)から成る特種ガラスであり、電子デバイス製造の中核を支える基盤材料である。一般的な石英ガラスと異なり、半導体製造工程に要求される極限的な清浄度・熱安定性・化学的惰性を満たすよう、原料段階から厳格に管理されていることが特徴である。製造は高純度の石英砂を1700℃以上で溶融し、非晶質構造を形成することで実現される。結晶化を防ぎ、分子レベルでの均質性を確保する工程こそが、半導体級の名に値する要件である。
この材料は、半導体製造プロセスにおけるウェーハ搬送管、反応炉管、マスク基板、光学部品など多様な用途に利用される。特に高温下でも構造変化を起こさず、化学薬品やプラズマ環境に対しても高い耐性を持つ点が重視されている。高純度・高信頼性・低汚染性という三拍子が揃うことで、半導体工程の微細化・高集積化を支える不可欠なマテリアルとなっているのである。